2007-01-20

納豆ダイエットは本当か

というネタを書こうと思いながら中途半端に資料を集めたあたりで放置していたら、番組の内容が嘘だらけだったことが公表されてしまいました。せっかくのネタが潰されちゃったなあ……。

新情報をいくつか仕入れたので下のほうに追記しました。

さて、気を取り直して、独立行政法人国立健康・栄養研究所が開設している「健康食品」の安全性・有効性情報から関連情報を集めてみました。

少なくとも「あるある大事典」で放送された内容を支持する情報はありません。

  • DHEA、イソフラボン、納豆のいずれも「ヒトでの評価」の肥満の項目は調べた文献の中で見当らないとなっています
  • DHEAやイソフラボンは、性ホルモンに似た作用があります。妊娠中・授乳中は通常の食品に含まれる分を超える摂取は避けたほうがよいでしょう。なお、DHEAは日本では医薬品に分類されているため、食品として販売することは認められていません。
  • 食品安全委員会は、大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値を70~75mgとしています(大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値70~75mg/日(大豆イソフラボンアグリコン換算値)は、どのようにして設定されているのですか。
  • 番組内で、納豆2パック=大豆イソフラボン70mgを摂取としていましたが、前述のとおり、食品安全委員会が定めた上限値が70~75mgです。毎日納豆を2パック食べ続ける場合、他に大豆イソフラボンを含む食品を継続的に食べるのは好ましくないかもしれません
  • DHEA、イソフラボンともに、薬物代謝酵素の活性を阻害する可能性があります。医薬品との併用には注意が必要です。納豆は、抗凝固剤のワルファリンの作用を減弱する恐れがあるため併用注意となっています。
  • 骨のカルシウムの維持に有効とする、大豆イソフラボンを関与成分とする特定保健用食品が許可されていますが、骨に対する有効性は認められないとする報告も複数あります。
  • 大豆イソフラボンの、血清脂質に対する有効性についても相反する複数の報告があります。アメリカ心臓協会(AHA)は大豆タンパク質やイソフラボンについて動物性タンパク質の代わりに大量に摂取した場合にのみ、僅かにLDLコレステロールの低下がみられるが、HDLコレステロール、トリグリセリド、リポタンパク質(a)、血圧には影響を与えないとしています。

納豆ダイエットの真偽のほどはともかくとして、1日70mgの大豆イソフラボン摂取を前提とした1日2パックの納豆を推奨するのは不適切と言わざるを得ないでしょう。

追加情報

納豆その後 - だ通東改あるある大事典の「納豆ダイエット」の論文解釈には最初からムリがあった [絵文録ことのは]2007/01/23で、関西テレビが根拠とした論文のひとつがEffect of DHEA on abdominal fat and insulin action in elderly women and men: a randomized controlled trial. Villareal DT, Holloszy JO. JAMA. 2004 Nov 10;292(18):2243-8. と紹介されています。この論文がDHEAに死亡減少の効果があるとしているものです。

ですが、DHEAサプリメントに効果はない - 食品安全情報blogによれば、DHEA in elderly women and DHEA or testosterone in elderly men. Nair KS, Rizza RA, O'Brien P, Dhatariya K, Short KR, Nehra A, Vittone JL, Klee GG, Basu A, Basu R, Cobelli C, Toffolo G, Dalla Man C, Tindall DJ, Melton LJ 3rd, Smith GE, Khosla S, Jensen MD. N Engl J Med. 2006 Oct 19;355(16):1647-59. ではDHEAを投与してもDHEA濃度上昇以外の変化はまったくなく、生活の質も改善しなかったと結論付けられているそうです。

関西テレビは、都合の悪い論文(しかも後から行われた研究です)を無視して(あるいは知らずに)DHEAがダイエットに有効としたことになります。

(食品安全情報blogには他にも興味深い記述があります)

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2006-12-12

人口1/10への挑戦:「コンビニ弁当ってどうなの?」ってどうなの?

livedoor ニュース - 【ファンキー通信】コンビニ弁当ってどうなの!? を読んでみました。こういうのを真に受ける人、多いようですね。真に受ける前に農民連という団体の素性くらい確認したほうがよさそうに思いますが、それはとりあえずおいておきましょう。

人口が1/10になる恐怖

そうですね。農民連の主張を考慮したうえで、食料自給率ですとか、無農薬・有機農法による収量の変化などから計算しますと、安全な食糧を完全自給するためには日本の人口を1/10くらいにすることが求められるでしょうか。

供給熱量ベースの食料自給率が40%(平成17年。概算)。無農薬・有機農法による収量の減少、これが約1/3程度と非常に大きな値になります。あるいはさらに減るかもしれません。あとは簡単な算数ですね。0.4×(1÷3)=0.13333……。約13%の食料しか確保できない計算になります。現在の食生活を維持するなら、人間の数を減らす必要があるわけですね。現在の13%程度に。

北朝鮮に核開発をがんばってもらって、たくさん弾道ミサイルを撃ってもらえばよいでしょうか。

もっと重大な問題

そうやって安全な食べ物を手に入れたところで、安全性など保障されていません

我々が昔から食べてきた食べ物は、単に昔から食べてきたというだけの理由から、毒性や発がん性などの十分な検証が行われていません。人工的に作られた農薬や食品添加物のほうが危険だという根拠はないのです

周りの人間を9人殺して、手に入れることができるのは安全性の保証もない食品。むなしいですね。

参考情報

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2006-11-29

警告! 農薬の1万倍危険な農産物

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記事タイトルのような煽り方をしたほうがよいのかもしれません。でも、本書ではそういう下品なことをせず、冷静に事実や有力な学説を紹介することで化学物質の安全性、危険性を示しています。

農産物に元々含まれている農薬様物質の量は残留農薬の約1万倍。こういった、専門家には当たり前のこととなっている事実は、なぜか一般にはあまり知られることがありません。そして、食品添加物で消費者を食い物にしたうえに食品の裏側のような下品な暴露本でさらに消費者を食い物にする輩のような、無責任な人たちの、科学的根拠のかけらもない言葉だけが信じられていきます。

そう、専門家はしょうゆを例に取ると、本物は塩と小麦と大豆という、消費者が知っているものだけで出来ています“食品の裏側”を明らかにする(前編)/SAFETY JAPAN [インタビュー]/日経BP社という無責任な言説を支持していません。昔から人が食べてきた食品が、現在広く使われている厳しい基準で毒性を評価された化学物質よりも危険であることを知っているからです。本物のしょうゆがどういうものかと、食品の安全性には何の関係もない。

でも、結局人々は下品でセンセーショナルなだけの、でたらめな言葉を信じ続けるのでしょう。本物の専門家が、彼らと同じ下品さを身につけるまで。それがいいことなのか、悪いことなのかはわからないけれど。

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